1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問29】住宅借入金等特別控除

《問29》住宅借入金等特別控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 平成23年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、平成30年4月に当該住宅ローンの一部繰上げ返済をし、当該住宅ローンの最終の償還月が平成31年4月となった場合、平成30年分の所得税について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。
  2. 平成28年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得して入居した者が、同年中に勤務先からの転任命令により転居し、平成30年4月に再入居した場合、所定の要件を満たせば、平成30年分の所得税から最長で10年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。
  3. 平成29年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、平成30年中に当該住宅を譲渡し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受ける場合、平成29年分の所得税についての修正申告書を提出し、控除された住宅借入金等特別控除相当額の所得税を納付しなければならない。
  4. 平成30年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けた者が、その控除額のうち平成30年分の所得税額から控除しきれない額を平成31年度分の個人住民税の所得割額から控除するためには、個人住民税の確定申告書を住所地の市町村長に提出する必要がある。


[正解]  (適切)

  1. 平成23年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、平成30年4月に当該住宅ローンの一部繰上げ返済をし、当該住宅ローンの最終の償還月が平成31年4月となった場合、平成30年分の所得税について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。
  2. [解説]
    平成23年4月に借り入れて、最終が平成31年4月になるため、住宅借入金等特別控除の要件の一つである「償還期間10年以上」を満たすことができなくなるため、一部繰り上げ返済をした年から適用できなくなる。

  3. 平成28年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得して入居した者が、同年中に勤務先からの転任命令により転居し、平成30年4月に再入居した場合、所定の要件を満たせば、平成30年分の所得税から最長で10年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。
  4. [解説]
    住宅ローン等を利用して居住用家屋の新築若しくは取得又は増改築等をした日から6か月以内にその者の居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していることが必要となる。しかし、家屋の所有者が、転勤等のやむを得ない事情により、その住宅の取得等の日から6か月以内にその者の居住の用に供することができない場合や年末まで引き続き居住することができない場合でも一定の要件を満たせば、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。しかし、控除期間が伸びるわけではなく、あくまでも平成28年4月に住宅ローンを利用してから10年間となる。

  5. 平成29年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、平成30年中に当該住宅を譲渡し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受ける場合、平成29年分の所得税についての修正申告書を提出し、控除された住宅借入金等特別控除相当額の所得税を納付しなければならない
  6. [解説]
    居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)や3,000万円特別控除を適用することはできない。たとえば、住宅を買い替える際に、旧住宅の売却で3,000万円控除を利用していると、新住宅で住宅ローン控除を適用することはできない。同様に、新住宅で住宅ローン控除を適用した後に、旧住宅を売却した場合、3,000万円控除を適用することはできない。3,000万円控除の適用を受けたい場合には、所得税についての修正申告書を提出し、控除された住宅借入金等特別控除相当額の所得税を納付しなければならない。住宅ローン控除と3,000万円控除のどちらか有利な方を選ばなければならないのは、「買換え」で発生する問題であると覚えておけばよい。本肢のように、住宅ローン控除を適用したあと、その住宅を売却に際し、3,000万円特別控除の適用を受けることはできる。

  7. 平成30年4月に住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けた者が、その控除額のうち平成30年分の所得税額から控除しきれない額を平成31年度分の個人住民税の所得割額から控除するためには、個人住民税の確定申告書を住所地の市町村長に提出する必要がある
  8. [解説]
    住宅ローン控除の適用を受けるためには、給与所得者であっても初年度のみは確定申告しなければならない。一方、所得税額から控除しきれない額は翌年の住民税から控除することができる。住民税は、自治体が確定申告書等を元に課税計算するため、住民税の確定申告書を提出する必要はない。なお、課税事業者でも国内における課税資産の譲渡等がなく、かつ、納付税額がないなど、確定申告の義務がない人は、原則として市区町村へ住民税の申告書を提出する必要がある。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問28】所得控除

《問28》居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」による控除額は、納税者がその年中に支払った特定一般用医薬品等購入費(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額であり、8万8,000円が上限となる。
  2. 納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることはできない。
  3. 納税者の控除対象扶養親族が一定の障害者に該当する場合、納税者は、当該控除対象扶養親族に係る扶養控除と障害者控除の適用を受けることができる。
  4. 年の中途で死亡した納税者の準確定申告において配偶者控除の対象となった者は、所定の要件を満たせば、その後その年中において他の納税者の控除対象配偶者や控除対象扶養親族となることができる。


[正解]  (不適切)

  1. 「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」による控除額は、納税者がその年中に支払った特定一般用医薬品等購入費(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額であり、8万8,000円が上限となる。
  2. [解説]
    平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときには、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除く)のうち、1万2千円を超える部分の金額(8万8千円を限度)を控除額できる。
    (算式)
    一般用医薬品等購入費の合計額-1万2千円(8万8千円上限)
    つまり、購入費の合計額10万円まで対象となる。

  3. 納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることはできない
  4. [解説]
    配偶者の合計所得金額が38万円以下で、納税者の合計所得金額に応じて配偶者控除額が決まる。納税者本人の合計所得金額は1,000万円以下でなければならない。

  5. 納税者の控除対象扶養親族が一定の障害者に該当する場合、納税者は、当該控除対象扶養親族に係る扶養控除と障害者控除の適用を受けることができる。
  6. [解説]
    要件を満たせば、扶養控除と障害者控除の両方を適用できる。

  7. 年の中途で死亡した納税者の準確定申告において配偶者控除の対象となった者は、所定の要件を満たせば、その後その年中において他の納税者の控除対象配偶者や控除対象扶養親族となることができる。
  8. [解説]
    納税者が年の中途で死亡した場合でも、準確定申告で配偶者控除を適用することができる。この場合の「配偶者の合計所得金額が38万円以下」という要件は、配偶者のその年の1月1日から12月31日までの間の合計所得金額を見積もって判定する。さらに、年の中途において死亡した納税者の控除対象配偶者もしくは配偶者特別控除対象配偶者又は扶養親族として控除された者であっても、その後その年中において他の納税者の控除対象配偶者若しくは配偶者特別控除対象配偶者又は扶養親族にも該当する者については、他の納税者が自己の控除対象配偶者若しくは配偶者特別控除対象配偶者又は扶養親族として控除することができます。

[要点のまとめ]

<配偶者控除と配偶者特別控除>
1.配偶者控除
配偶者の合計所得金額が38万円以下で、納税者の合計所得金額に応じて配偶者控除額が決まる。納税者本人の合計所得金額は1,000万円以下でなければならない。配偶者控除と配偶者特別控除の金額については表が与えられる。
(1) 配偶者控除38万円、26万円、13万円
(2) 老人控除対象配偶者48万円、32万円、16万円
2.配偶者特別控除
配偶者控除が適用できない、配偶者の合計所得金額38万円超123万円未満であれば配偶者特別控除の対象となる。
配偶者控除と配偶者特別控除は、青色事業専従者青色事業専従者や事業専従者に該当すると適用できない
3.扶養控除
(1) 一般扶養控除(16歳以上) 38万円
(2) 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) 63万円
(3) 老人扶養親族(70歳以上) 同居58万円、他48万円
4.障害者控除
(1) 障害者 27万円
(2) 特別障害者 40万円
(3) 同居特別障害者 75万円


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問27】特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

《問27》 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
  2. 本特例の対象となる家屋は、現に居住の用に供している家屋または居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日までに譲渡される家屋に限られる。
  3. 本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額の合計額が限度となる。
  4. 前年以前3年内の年において生じた本特例による損益通算後の譲渡損失の金額がある場合であっても、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による繰越控除の適用を受けることはできない。


[正解]  (適切)

  1. 本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
  2. [解説]
    本特例の適用を受けるためには所有期間の要件があるが、譲渡の年の1月1日における所有期間は5年超である。

  3. 本特例の対象となる家屋は、現に居住の用に供している家屋または居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日までに譲渡される家屋に限られる。
  4. [解説]
    現在住んでいる住居だけでなく、住んでいない住居も対象だが、住んでいない場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡しなければならない。

  5. 本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額の合計額が限度となる。
  6. [解説]
    本特例の対象となる譲渡損失の金額は、住宅ローン残高から譲渡価額を控除した額が限度となる。

  7. 前年以前3年内の年において生じた本特例による損益通算後の譲渡損失の金額がある場合であっても、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による繰越控除の適用を受けることはできない。
  8. [解説]
    合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ本特例による繰越控除を適用できない


[要点のまとめ]

<特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除>
マイホーム(旧居宅)を平成31年(2019年)12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができる。さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができる。

1.特例の要件
(1) 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。親族等への譲渡は除かれる
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまる必要がある。
・取り壊された家屋及びその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年超であること。
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2) 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。
(3) 災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)(注)に売ること
 (注)東日本大震災により滅失した家屋の敷地の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなる。
(4) [新住宅]譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産で家屋の床面積が50㎡以上であるものを取得すること。
(5) [新住宅]買換資産を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込みであること。
(6) [新住宅]買換資産を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。
2.繰越控除が適用できない場合
(1) [旧住宅]旧居宅の敷地の面積が500㎡を超える場合
 旧居宅の敷地の面積が500㎡を超える場合は、500㎡を超える部分に対応する譲渡損失の金額については適用できない。
(2) [新住宅]繰越控除を適用する年の12月31日において新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合
(3) 合計所得金額が3,000万円を超える場合
 合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。
3.損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
(1) [旧住宅]旧居宅の売主と買主が、親子や夫婦など特別の関係にある場合
※特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人なども含まれる。
(2) 旧居宅を売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
・居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(ただし、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除く。)
・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
・特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(3) 旧居宅を売却した年又はその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例の適用を受ける場合又は受けている場合
(4) 売却の年の前年以前3年内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額についてマイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算の特例を受けている場合


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問26】総所得金額

《問26》 居住者であるAさんの平成30年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんは青色申告を行っていないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 90万円
  2. 160万円
  3. 170万円
  4. 185万円


[正解]  (不適切)

[解説]
・まず、各所得金額を求める。
 事業所得:600万円-300万円=300万円
 不動産所得:500万円-650万円=▲150万円
 譲渡所得:700万円-780万円=▲80万円
 一時所得:290万円-220万円-50万円(特別控除)=20万円
・総所得金額を求める。
不動産所得の損失には土地等の取得に要した負債の利子は含まれていないため、全額損益通算できる。
譲渡所得はゴルフ会員権の譲渡であり、生活に必要のない財産であるため、損益通算できない
一時所得は、総所得金額に算入する際に1/2しなければならない。
 300万円-150万円+20万円×1/2=160万円

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問25】退職所得

《問25》 居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 国家公務員または地方公務員が勤続年数5年以下で退職して受け取った退職手当は、当該職員の役職にかかわらず、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算することになる。
  2. 被保険者を役員とする法人契約の終身保険を、当該役員の退職にあたり、契約者を役員に変更して退職金として支給した場合、その支給時において当該契約を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金等の額が退職所得の収入金額となる。
  3. 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。
  4. 給与所得、上場株式等に係る譲渡所得および退職所得を有する者は、確定申告を行うことにより、総所得金額および譲渡所得の金額から控除しきれない所得控除額を退職所得の金額から控除することができる。


[正解]  (不適切)

  1. 国家公務員または地方公務員が勤続年数5年以下で退職して受け取った退職手当は、当該職員の役職にかかわらず、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算することになる。
  2. [解説]
    退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その者の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされているが、役員等としての勤続年数(役員等勤続年数)が5年以下の者(特定役員等)が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの(特定役員退職手当等)については、この残額の2分の1とする措置はない
    この役員等には、
    (1) 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者
    (2) 国会議員や地方公共団体の議会の議員
    (3) 国家公務員や地方公務員
    が該当する。

  3. 被保険者を役員とする法人契約の終身保険を、当該役員の退職にあたり、契約者を役員に変更して退職金として支給した場合、その支給時において当該契約を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金等の額が退職所得の収入金額となる。
  4. [解説]
    法人契約である終身保険を法人から役員(個人)に譲渡するため、その価額は時価となり、保険契約であることから解約返戻金相当額となる(法人が支払った保険料総額ではない)。また、退職所得として保険契約を支給しているため、解約返戻金額が退職所得となる。「当該契約を解除した場合に支払われることとなる」とあることから、この時点では解約していない。なお、この後、この保険を解約すると一時所得の対象となる。

  5. 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。
  6. [解説]
    「納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引く」とは、掛金を生命保険の保険料のように差し引くことを意味するが、確定拠出年金の掛金は全額所得控除しており、退職所得でh勤務年数に応じた退職所得等控除があるため、保険料や経費のように差し引くことはできない

  7. 給与所得上場株式等に係る譲渡所得および退職所得を有する者は、確定申告を行うことにより、総所得金額および譲渡所得の金額から控除しきれない所得控除額を退職所得の金額から控除することができる。
  8. [解説]
    所得控除にいて控除する順序は、①総所得金額、②譲渡所得の金額や上場株式等に係る譲渡所得等の金額等、③山林所得金額、④退職所得金額の順に控除する。最初の総所得金額と最後の山林所得・退職所得をおさえておくこと。なお、所得控除では、雑損控除を他の諸控除と区分して最初に所得金額から差し引き、次にその他の控除を同順位に行う。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問24】強力な金融緩和継続のための枠組み強化

《問24》 日本銀行が2018年7月に公表した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」における決定事項に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 2019年10月に予定されている消費税率の引上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」との政策金利のフォワードガイダンスを導入した。
  2. 長期金利について、10年物国債金利の誘導目標をマイナス1%程度に引き下げ、長期国債の買入れを、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的に実施することとされた。
  3. ETFの買入れについて、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとともに、ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、日経平均株価に連動するETFの買入れ額を拡大することとされた。
  4. 日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、増加させることとされた 。


[正解]  (適切)

以下、日本銀行の「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」のおける決定事項である。
1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定した。
(1)政策金利のフォワードガイダンス
日本銀行は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。
(2)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。
(3)資産買入れ方針
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
① ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。
※2015年12月に決定した「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFの買入れについては、これまでどおり、年間約3,000億円の買入れを行う。
② CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。
2.日本銀行は、1.の措置と合わせて、以下の実務的な対応を行うこととした。
(1)政策金利残高の見直し
日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準(平均して10兆円程度)から減少させる
(2)ETFの銘柄別の買入れ額の見直し
ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIXに連動するETFの買入れ額を拡大する。
3.わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しており、労働需給も着実な引き締まりを続けている。一方、物価は、経済・雇用情勢に比べて弱めの動きが続いている。その背景には、本日公表した「経済・物価情勢の展望」で示したように、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方の継続といった要因が複合的に作用しており、2%の「物価安定の目標」の実現には、これまでの想定より時間がかかることが見込まれる。もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることにより、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
4.こうした認識のもとで、日本銀行は、政策金利のフォワードガイダンスを導入するとともに、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営していくことにより、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当と判断した。こうした対応は、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することに繋がると考えている。
5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。
(出典:日本銀行「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」)

  1. 2019年10月に予定されている消費税率の引上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」との政策金利のフォワードガイダンスを導入した。
  2. [解説]
    消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。

  3. 長期金利について、10年物国債金利の誘導目標をマイナス1%程度に引き下げ、長期国債の買入れを、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的に実施することとされた。
  4. [解説]
    長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。

  5. ETFの買入れについて、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとともに、ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、日経平均株価に連動するETFの買入れ額を拡大することとされた。
  6. [解説]
    ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIXに連動するETFの買入れ額を拡大する。

  7. 日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、増加させることとされた 。
  8. [解説]
    日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準(平均して10兆円程度)から減少させる

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問23】消費者契約法

《問23》 消費者契約法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の重要な利益についての損害または危険を回避するために通常必要であると判断される事情について、事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤認をし、それによって当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる。
  2. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものの分量が当該消費者にとっての通常の分量を著しく超えるものであることを知っていた場合において、消費者がその勧誘により当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる。
  3. 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項や、消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項は、いずれも無効である。
  4. 消費者が消費者契約法に基づく消費者契約の取消権を行使する場合、行使することができる期間は、消費者が追認をすることができる時から6カ月間または当該消費者契約の締結の時から5年間とされている。


[正解]  (不適切)

  1. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の重要な利益についての損害または危険を回避するために通常必要であると判断される事情について、事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤認をし、それによって当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる
  2. [解説]
    消費者契約法第4条1項では、重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認し、それにより当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは取り消すことができるとしている。

  3. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものの分量が当該消費者にとっての通常の分量を著しく超えるものであることを知っていた場合において、消費者がその勧誘により当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる
  4. [解説]
    消費者契約法第4条4項で、”消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる“としている。
    たとえば、普段あまり衣服にこだわっていないことを知っているにも関わらず、その人に高価な衣服を何着も購入させることなどである。

  5. 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項や、消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項は、いずれも無効である。
  6. [解説]
    消費者契約法第8条2号で、”次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
    一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項
    二 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項”としている。
    事業者の債務不履行は、事業者が契約内容に従って行動しないこと、目的物に隠れた瑕疵があることは、契約内容の商品やサービスに予定している品質や性能を欠いていることを指す。これらのときに、消費者の解除権を放棄させる旨の契約は、消費者にとって不利となるため、無効となる。ちなみに、事業者に責任がある場合でも「損害賠償責任はない」とする条項、「一切のキャンセルや返品・交換などを認めない」とする条項、消費者が一方的に不利になる条項や消費者が負う損害金やキャンセル料が高過ぎる場合なども無効となる。

  7. 消費者が消費者契約法に基づく消費者契約の取消権を行使する場合、行使することができる期間は、消費者が追認をすることができる時から6カ月間または当該消費者契約の締結の時から5年間とされている。
  8. [解説]
    消費者契約法では、重要事項について事実と異なる説明があった場合(不実告知)、分量や回数などが多過ぎる場合(過量契約)、不確かなことを「確実だ」と説明された場合(断定的判断の提供)、消費者に不利な情報を故意に告げなかった場合(不利益事実の不告知)、営業マンなどが強引に居座った場合(不退去)販売店などで強引に引き留められた場合(退去妨害)などで取り消すことができる。無効ではなく、取り消すことができるとしているのは、契約が消費者にとって有利であれば、そのまま契約を成立させてもいいためである。取り消すことができたとしても、契約を成立させる意思表示をすることを追認という。
    消費者が誤認をしたことに気付いたときや困惑を脱したとき等、取消しの原因となっていた状況が消滅したとき以降に追認することができる。
    ただ、消費者が取り消すか追認するかが分からないままだと事業者も困るため、取り消しができる期間を、「追認ができるときから1年間」か「契約の締結のときから5年間」としている。平成28年の改正で、6か月から1年に延長された。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問22】特定口座

《問22》 特定口座に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における簡易申告口座とは、特定口座のうち、源泉徴収がされない口座をいう。

  1. 特定口座で取引を行った場合、原則として、「特定口座年間取引報告書」が二通作成され、翌年1月31日までに、一通が特定口座が開設された金融商品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署長に提出され、他の一通が特定口座を開設した者に交付される。
  2. 金融商品取引業者等に源泉徴収選択口座を開設している者が、異なる金融商品取引業者等に簡易申告口座を開設することは可能である。
  3. 源泉徴収選択口座内の上場株式を同一年中に複数回譲渡し、譲渡益と譲渡損が生じた場合、譲渡益については、その譲渡の都度、所得税等が源泉徴収され、譲渡損については、年末に譲渡益の合計額と通算され、翌年年初に譲渡益から源泉徴収された税額の一部または全部が還付される。
  4. 一般口座と源泉徴収選択口座を開設している者が、その年分の上場株式に係る譲渡所得について所得税の確定申告を行う場合、源泉徴収選択口座内の上場株式に係る譲渡所得の金額を除外して確定申告を行うことができる。


[正解]  (不適切)

  1. 特定口座で取引を行った場合、原則として、「特定口座年間取引報告書」が二通作成され、翌年1月31日までに、一通が特定口座が開設された金融商品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署長に提出され、他の一通が特定口座を開設した者に交付される。
  2. [解説]
    特定口座年間取引報告書とは、特定口座内での1年間(1月1日~12月31日)の譲渡損益等を証券会社で計算し、記載した書類である。翌年1月31日までに証券会社より顧客へ交付されるのと同時に、税務署へ提出される。
    確定申告する際に、特定口座年間取引報告書を利用すれば、1年間の全取引の明細を確定申告書に記載する手間を省くことができる
    なお、特定口座「源泉徴収あり(配当受入あり)」を開設し、配当金受領方式「株式数比例配分方式」を選択している場合、特定口座年間取引報告書には特定口座に受入れた配当金・分配金の明細が記載される。

  3. 金融商品取引業者等に源泉徴収選択口座を開設している者が異なる金融商品取引業者等に簡易申告口座を開設することは可能である
  4. [解説]
    源泉徴収選択口座(特定口座)を同一金融商品取引業者等に開設することはできないが、異なる金融商品取引業者等であれば、源泉徴収選択口座(特定口座)でも簡易申告口座でも開設することができる。

  5. 源泉徴収選択口座内の上場株式を同一年中に複数回譲渡し、譲渡益と譲渡損が生じた場合、譲渡益については、その譲渡の都度、所得税等が源泉徴収され、譲渡損については、年末に譲渡益の合計額と通算され、翌年年初に譲渡益から源泉徴収された税額の一部または全部が還付される。
  6. [解説]
    譲渡益も譲渡損も、譲渡の都度、年初(1月1日)からの譲渡損益を計算し、利益発生時には源泉徴収が行われ、損失発生時には徴収超過分が還付される。

  7. 一般口座と源泉徴収選択口座を開設している者が、その年分の上場株式に係る譲渡所得について所得税の確定申告を行う場合、源泉徴収選択口座内の上場株式に係る譲渡所得の金額を除外して確定申告を行うことができる。
  8. [解説]
    所得税の確定申告をするのであれば、その年分のすべての取引について確定申告をする必要がある。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問21】資本資産評価モデル(CAPM)

《問21》 資本資産評価モデル(CAPM)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、β(ベータ)値は1より大きく、安全資産利子率はゼロではないものとする。

  1. 資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率の算出にあたって、安全資産利子率は、一般に、当該ポートフォリオに組み入れる資産の過去の平均収益率を用いる。
  2. 資本資産評価モデル(CAPM)におけるβ(ベータ)値は、市場全体に対するポートフォリオのアンシステマティック・リスクを測定した値である。
  3. ポートフォリオのβ(ベータ)値が、同じ市場を対象とする他のポートフォリオのβ(ベータ)値の2倍である場合、資本資産評価モデル(CAPM)により算出されるポートフォリオの期待収益率も2倍となる。
  4. 資本資産評価モデル(CAPM)によれば、同じ市場を対象とする2つのポートフォリオを比較した場合、β(ベータ)値が大きいポートフォリオのほうが、市場全体の変動の影響をより大きく受けるため、ポートフォリオのリスクが高いといえる。


[正解]  (適切)

  1. 資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率の算出にあたって、安全資産利子率は、一般に、当該ポートフォリオに組み入れる資産の過去の平均収益率を用いる。
  2. [解説]
    資本資産評価モデル、いわゆるキャップエム(CAPM)は、証券の期待収益率(経営者から見ると株主資本コスト)を算出するための理論の一つである。
    (計算式)
    証券の期待収益率=安全資産利子率+β✕(市場ポートフォリオの期待収益率-安全資産利子率)
    安全資産利子率は、リスクフリーレートとも呼ばれ、リスクがゼロかほぼない資産の利回りを指し、一般的に10年物国債の利回りを用いる。株式が安全資産とは言えないことに気づくだろう。

  3. 資本資産評価モデル(CAPM)におけるβ(ベータ)値は、市場全体に対するポートフォリオのアンシステマティック・リスクを測定した値である。
  4. [解説]
    アンシステマティック・リスクは、個別銘柄リスクで、個別企業の業績などで発生し、分散投資で軽減することが可能なリスクである。一方、システマティック・リスクは、市場リスクのことで、市場全体が影響を受け、分散投資で回避できないリスクである。資本資産評価モデルにおけるβ(ベータ)は、市場全体の変動に対する個別証券の変動の感応度で、市場ポートフォリオ(株式市場全体)のβ値は1となる。βが1超なら株式市場より個別証券の値動きが大きく(感応度が高く)、1未満なら株式市場より個別証券の値動きが小さく(感応度が低く)なる。リスクのうちアンシステマティック・リスクは十分な分散投資を行うことでゼロとすることができ、その場合、システマティック・リスクのみ残ることになる。つまり、資本資産評価モデル(CAPM)におけるβ(ベータ)値は、市場全体に対するポートフォリオのシステマティック・リスクを測定した値である。
    もう少し具体的に説明すると、A業界(市場)のβとB業界(市場)とではβ(ベータ)値が異なる。これは業界(市場)によって、為替、金利、原材料価格等の変動による影響力が異なるためである。反面、同じ業界(市場)であれば影響力は似るはずである。この為替、金利、原材料価格等の変動によるリスクがシステマティック・リスクである。

  5. ポートフォリオのβ(ベータ)値が、同じ市場を対象とする他のポートフォリオのβ(ベータ)値の2倍である場合、資本資産評価モデル(CAPM)により算出されるポートフォリオの期待収益率も2倍となる。
  6. [解説]
    計算式は、証券の期待収益率=安全資産利子率+β✕(市場ポートフォリオの期待収益率-安全資産利子率)である。安全資産利子率を1%、市場ポートフォリオの期待収益率を4%とすると、β=1のとき、期待収益率は、4%ととなる。同じ市場を対象とするため、β以外の数値を固定し、β=2とすると、期待収益率は7%となり、2倍にならない。

  7. 資本資産評価モデル(CAPM)によれば、同じ市場を対象とする2つのポートフォリオを比較した場合、β(ベータ)値が大きいポートフォリオのほうが、市場全体の変動の影響をより大きく受けるため、ポートフォリオのリスクが高いといえる。
  8. [解説]
    β(ベータ)値は、市場全体の変動に対する個別証券の変動の感応度で、β値が高いほど、値動きが大きくなるためリスクが高くなる。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問20】オプション取引

《問20》 オプション取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいう。
  2. キャップは、キャップの買い手が売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した金利を上回った場合に、その差額を受け取ることができる取引である。
  3. カラーは、キャップの買いとフロアの買いを組み合わせた取引であり、カラーの買い手は売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した変動幅の範囲外となった場合に、その差額を受け取ることができる。
  4. ノックイン・オプションやノックアウト・オプションなどのバリア・オプションは、バリア条件のないオプションと比較すると、他の条件が同一である場合、一般に、オプション料は低くなる。


[正解]  (不適切)

  1. ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいう。
  2. [解説]
    コールオプションの場合、原資産価格が権利行使価格を上回っている状態(原資産価格>権利行使価格)が有利となる。たとえば権利行使価格1,000円のコールオプション保有時に、原資産価格(市場価格)1,100円で権利行使すると100円安く購入することができる。
    一方、プットオプションの場合、原資産価格が権利行使価格(原資産価格<権利行使価格)を下回っている状態が有利となる。オプションの買い手が権利行使したときに差金の受取が生じる状態のこををITM(イン・ザ・マネー)という。
    ちなみに、権利行使価格1,000円のコールオプション保有時に、原資産価格(市場価格)900円だと、差金の支払いが生じるため、権利放棄する。コールオプションの場合、「原資産価格<権利行使価格」の状態、プットオプションの場合、「原資産価格>権利行使価格」の状態であり、この状態をOTM(オウト・オブ・ザ・マネー)という。加えて、原資産価格と権利行使価格が等しい状態をATM(アット・ザ・マネー)という。ITMだけだと覚えにくい場合、OTMやATMを一緒に覚えると覚えやすいかもしれない。

  3. キャップは、キャップの買い手が売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した金利を上回った場合に、その差額を受け取ることができる取引である。
  4. [解説]
    キャップ(cap)は上限という意味で、一部の金融機関で扱うキャップ付き(上限金利特約付き)住宅ローンを想像すると分かりやすいかもしれない。住宅ローンを変動金利型で借り入れる場合、固定金利型の金利負担を避ける目的があるが、将来金利が上昇するリスクがある。そこで、金融機関があらかじめ金利のコールオプションを購入しておき、上限金利(基準金利)を上回ると差金を受け取れるようにしておく。この取引をキャップ取引といい、金利上昇リスクのヘッジ目的で利用される。なお、下限金利(基準金利)を下回ると差金を受け取れる取引をフロア(floor)取引という。体の最も高い頭にかぶる「帽子(cap)」と最も低い足の裏に接する「床(floor)」をイメージしておけば覚えやすいだろう。

  5. カラーは、キャップの買いとフロアの買いを組み合わせた取引であり、カラーの買い手は売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した変動幅の範囲外となった場合に、その差額を受け取ることができる。
  6. [解説]
    カラーは、キャップの買いとフロアの売りを組み合わせた取引で、上限と下限を設定することになる。たとえば上限金利(キャップ)を3%、下限金利(フロア)を1%とすると、金利が3%を上回った場合はその分の差額を受け取ることができる。一方、金利1%を下回った場合、権利放棄することになるが、フロアを売ることで手数料を受け取っているため、キャップの買いのみの場合と比べ、手数料は安くなる。なお、

  7. ノックイン・オプションやノックアウト・オプションなどのバリア・オプションは、バリア条件のないオプションと比較すると、他の条件が同一である場合、一般に、オプション料は低くなる。
  8. [解説]
    バリア・オプションは、一定価格に到達すると権利が発生したり、消滅したりするオプション取引である。ノックイン・オプションは、一定価格(バリア)に到達すると有効になり、ノックアウト・オプションは一定価格(バリア)に到達すると無効になる。たとえば、現在1ドル=100円で、権利行使価格110円のコールオプションを購入し、1ドル=120円になったとします。この場合、権利行使をすれば1ドルにつき10円の差金を受け取ることができます。このような取引で、1ドル=130円のノックアウト・オプションを付けるとします。コールオプションの売り手にしてみれば、円安になるほど損失が拡大してしまうため、一定価格(バリア)に到達すると権利行使が無効となるオプションがあるとオプション料は安くても構わないことになる。コールオプションの買い手も、オプション料を安くおさえるため、大幅な円安になる可能性が少ないと判断していれば(平常時は一定のレンジで価格は推移するため)、バリア条件を付けるメリットがある。