問題29
ポートフォリオのリスクに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオに組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。
- 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1の場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの軽減)は得られない。
- 個別銘柄の要因で発生するリスクを、非システマティック・リスクという。
- システマティック・リスクは、ポートフォリオの組入れ銘柄数を増やしても低減しない。
- ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオに組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。
- 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1の場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの軽減)は得られない。
- 個別銘柄の要因で発生するリスクを、非システマティック・リスクという。
- システマティック・リスクは、ポートフォリオの組入れ銘柄数を増やしても低減しない。
[解説]
例えば、債券60%、株式40%の組入比率であるポートフォリオで、それぞれの期待収益率が1%、3%だったとする。単純平均では(1%+3%)÷2=2%となる。これだと、組入比率を考慮していないため、加重平均を用いるのが一般的である。同じ期待収益率1%でも、組入比率10%の場合と90%の場合とでは、そのポートフォリオにおける期待収益率は異なる。
加重平均を用いたでポートフォリオの期待収益率は、1%×0.6+3%×0.4=1.8%となる。このことを文章で表したものが選択肢の「ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオに組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。」である。
ちなみに、組入比率を変えた場合のポートフォリオの期待収益率は以下のとおりである。
債券100%(株式0%) 1%×1.0+3%×0=1% ※すべて債券なので、当然のごとくポートフォリオも1%となる。
債券80%(株式20%) 1%×0.8+3%×0.2=1.4%
債券50%(株式50%) 1%×0.5+3%×0.5=2%
債券20%(株式80%) 1%×0.2+3%×0.8=2.6%
債券0%(株式100%) 1%×0+3%×1=3%
株式の組入比率を高くすると期待収益率は高くなるが、リスクも高くなる。
[解説]
相関係数が-1の場合は分散投資効果が得られる。効果が得られないのは1の場合である。
[解説]
システマティック・リスクとは、投資をする上で必ず受ける市場全体のリスクのことである。システマティックとは「組織的」「体系的」という意味。非システマティック・リスクとは、その逆で、個別銘柄の要因で発生するリスクを表し、ポートフォリオによるリスク分散でリスクを低減することができる。
[解説]
システマティック・リスクとは、取り除くことのできない市場全体のリスクのことで、日銀の金融緩和政策の発表やFOMCの利上げ報道など。ポートフォリオでは軽減できないリスクである。