2級FP過去問解説(学科)2017年5月【問題3】公的医療保険

問題3

全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 被保険者に生計を維持されている配偶者(後期高齢者医療の被保険者等を除く)は、年間収入が130万円未満、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合、原則として協会けんぽの被扶養者となる。
  2. 一般保険料率は都道府県ごとに設定されているが、40歳以上65歳未満の被保険者の介護保険料率は全国一律に設定されている。
  3. 健康保険における標準報酬月額等級は、被保険者の報酬月額に基づき、50等級に区分されている。
  4. 健康保険における標準報酬月額等級は、被保険者の報酬月額に基づき、50等級に区分されている。

[正解]  (不適切)

[解説]

  1. 被保険者に生計を維持されている配偶者(後期高齢者医療の被保険者等を除く)は、年間収入が130万円未満、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合、原則として協会けんぽの被扶養者となる。
  2. [解説]
    適切である。協会けんぽの被扶養者となるための要件である。被扶養者の要件の出題は、この選択肢だけおさえておけば十分だが、その他の要件は次の通り。
    ・被保険者の直系尊属、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹、兄姉で、主として被保険者に生計を維持されている人(かならずしも、被保険者といっしょに生活をしていなくてもよい)。
    ・被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
    ※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいう。
    ① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
    ② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    ③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
    ※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除く。
    (出典:協会けんぽHP)

  3. 一般保険料率は都道府県ごとに設定されているが、40歳以上65歳未満の被保険者の介護保険料率は全国一律に設定されている。
  4. [解説]
    適切である。
    健康保険料率は、平成21年9月から都道府県ごとに保険料率を設定しているが、料率は地域の加入者の医療費に基づいて算出される。健康保険料率が都道府県ごとに設定したことにより急激に上がらないよう、全国平均の保険料率と各都道府県の保険料率の差を圧縮する経過措置が取られている。この措置は、現時点で平成31年度までに段階的に解消していくこととしており、平成29年度はより都道府県ごとの医療費の差が反映される保険料率としている。
    ・協会けんぽの一般保険料率(健康保険料率)
    <平成29年度都道府県単位保険料率>

    ※40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.65%)が加わる。
    ・協会けんぽの介護保険料率の推移
    平成29年3月分(5月1日納付期限分)から  1.65%
    平成27年4月分(6月1日納付期限分)から  1.58%
    平成26年3月分(4月30日納付期限分)から  1.72%
    平成24年3月分(5月 1日納付期限分)から  1.55%
    平成23年3月分(5月 2日納付期限分)から  1.51%
    平成22年3月分(4月30日納付期限分)から 1.50%
    平成21年3月分(4月30日納付期限分)から 1.19%
    (出典:協会けんぽHP)

  5. 健康保険における標準報酬月額等級は、被保険者の報酬月額に基づき、50等級に区分されている。
  6. [解説]
    適切である
    健康保険・厚生年金保険では、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と3月を超える期間の賞与から千円未満を切り捨てた標準賞与額(健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算している。標準報酬月額は、健康保険は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されている。

  7. 健康保険における標準報酬月額等級は、被保険者の報酬月額に基づき、50等級に区分されている。
  8. [解説]
    不適切である。
    <健康保険の任意継続被保険者の要件>
    ・資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
    ・資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
    なお、被保険者期間は、任意継続被保険者となった日から2年間で、任意にやめることはできない。


[要点のまとめ]
公的医療保険

    目次

  1. 健康保険の給付内容
  2. 健康保険の任意継続被保険者
  3. 国民健康保険

1 健康保険の給付内容

1. 療養の給付

健康保険の被保険者が業務以外の事由により病気やけがをしたときに、治療を受けることができる。

<医療費の自己負担割合>

自己負担割合
小学校入学前2割
小学校入学後
~70歳未満
3割
70歳以上
75歳未満
平成26年4月以降は2割(以前は1割)
現役並み所得は3割
75歳以上原則1割
現役並み所得は3割

 図解 医療費の自己負担割合

自己負担割合_健康保険

2. 高額療養費

1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた分が高額療養費として支給される。自己負担限度額は、所得区分と年齢によって異なる。

<70歳未満の自己負担限度額(算式)>

所得区分自己負担限度額
標準報酬月額
83万円以上
252,600円 + (医療費 – 842,000円) × 1%
標準報酬月額
53万円~79万円
167,400円 + (医療費 – 558,000円) × 1%
標準報酬月額
28万円~50万円
80,100円 + (医療費 – 267,000円) × 1%
標準報酬月額
26万円以下
57,600円
住民税非課税世帯35,400円

3. 出産一時金

出産育児一時金は、被保険者やその被扶養者が出産したときに1児につき42万円が支給される(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産した場合は40.4万円)。

4. 出産手当金

被保険者が出産で仕事を休み、十分な給料を受けられない場合に、出産前42日前、出産後56日間、最長98日間支給される。

(算式) 1日当たりの金額
= 支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

5. 傷病手当金

被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あり、4日目以降、休んだ日に対して支給される。 待期期間が休日や有休休暇であっても数えることができる。ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されない。また任意継続被保険者は、傷病手当金は支給されない。傷病手当金は最長1年6か月間受け取ることができる。

(算式) 1日当たりの金額
= 支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

次の2点を満たしている場合、退職後も引き続き残りの期間について傷病手当金を受けることができる。

・被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
・資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

2 健康保険の任意継続被保険者

一定の要件を満たせば退職後2年間、引き続き健康保険の被保険者になることができる制度。保険料は被保険者の全額負担となる。
1. 要件
・被保険者に継続して2ヶ月以上加入
・退職後20日以内に申請
2. 出題のポイント
よく狙われるのが数値で、退職後2年間、2ヶ月以上加入、20日以内に申請、と「2」がつくため覚えやすいが、誤りの選択肢として、「2週間」などが出題されたことがあるため注意が必要である。

3 国民健康保険

1. 国民健康保険の概要
国民健康保険は、自営業者などを対象にした保険で、健康保険のように被扶養者制度はない。また平成30年4月から財政運営の主体が都道府県となっており、都道府県と市町村が共同保険者となって運営している。同種同業の組合員で構成される国民健康保険組合もある。なお保険料は前年の所得などによって計算され、都道府県や組合によって異なる。

2. 国民健康保険の給付内容
健康保険の給付内容とほぼ同じだが、一般に出産手当金や傷病手当金はない。

3. 後期高齢者医療制度
75歳以上(または65歳以上75歳未満で障害認定をうけた人)になると、後期高齢者医療制度に移行する。


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