2級FP過去問解説(学科)2017年5月【問題7】企業年金等

問題7

確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 国民年金基金の加入員が個人型年金にも加入する場合、その者の個人型年金の掛金月額は5,000円以上1,000円単位で、拠出限度額から国民年金基金の掛金の額を差し引いた額の範囲内となる。
  2. 企業型年金における加入者掛金(マッチング拠出による加入者が拠出する掛金)の額は、事業主掛金の額にかかわらず、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金を差し引いた額である。
  3. 企業型年金の加入者が退職して国民年金の第3号被保険者となった場合、その者は、申出により、企業型年金の個人別管理資産を国民年金基金連合会に移換し、個人型年金の運用指図者となることができる。
  4. 老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上なければならない。

[正解]  (不適切)

[解説]

  1. 国民年金基金の加入員が個人型年金にも加入する場合、その者の個人型年金の掛金月額は5,000円以上1,000円単位で、拠出限度額から国民年金基金の掛金の額を差し引いた額の範囲内となる。
  2. [解説]
    適切である。
    個人型年金の掛金月額は5,000円以上、1,000円単位で任意に設定できる。また国民年金基金に加入している場合、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それぞれの掛金または保険料と合わせて68,000円が拠出限度額となる。なお、掛金額は、毎年4月分の掛金から翌年3月分の掛金の間に1回だけ変更することができる。確定拠出年金は、公的年金に上乗せされる年金であり、加入資格がないと掛金を拠出できない。加入資格を国民年金基金連合会が確認し、加入資格のない月に拠出された掛金は還付される。

  3. 企業型年金における加入者掛金(マッチング拠出による加入者が拠出する掛金)の額は、事業主掛金の額にかかわらず、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金を差し引いた額である。
  4. [解説]
    不適切である。
    企業型DCは退職給付制度として位置づけられており、会社が掛金を拠出する仕組みとなっていたが、平成24年1月の法改正によって、加入者も一定の範囲内で事業主の掛金に上乗せ拠出が出来る「マッチング拠出」が可能となった。マッチング拠出の掛金は、会社の掛金との合計で月額55,000円までとなっている(企業年金を併用している場合は月額27,500円)。また、企業年金の主たる拠出者は会社であるため、会社の掛金を加入者本人の掛金が上回ることはできない。よって、「事業主掛金の額にかかわらず、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金を差し引いた額である」は誤り。

  5. 企業型年金の加入者が退職して国民年金の第3号被保険者となった場合、その者は、申出により、企業型年金の個人別管理資産を国民年金基金連合会に移換し、個人型年金の運用指図者となることができる。
  6. [解説]
    適切である。ポータビリティに関する問題である。確定拠出年金は離転職しても持ち運ぶことができるのがメリットの一つだが、パターンとしては、企業型年金から個人型年金、厚生年金基金・確定給付企業年金から個人型年金、企業年金連合会(旧:厚生年金基金連合会)から個人型年金がある。またこの設問のように退職した場合も考えておく必要がある。ただ試験対策上、厚生年金基金や確定給付企業年金、企業年金連合会については出題頻度は高くないため、あまり深入りする必要はないだろう。
    基本的な知識として、転職先に企業型確定拠出年金があれば継続でき、制度がなければ個人型確定拠出年金として継続することができる。
    この問題のように退職したして第3号被保険者になった場合は、従来通り運用指図者(追加で掛金はできず、運用方針の指図のみ)になるか、個人型確定拠出年金に拠出するかになる。

  7. 老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上なければならない。
  8. [解説]
    適切である。原則60歳からの受給だが、通算加入者等期間により、 受給可能年齢が異なる。60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は次の年齢からの受給となる。つまり、通算加入者等期間が10年以上なければ60歳から受け取れない。
    8年以上 → 61歳から受給可能
    6年以上8年未満 → 62歳から受給可能
    4年以上6年未満 → 63歳から受給可能
    2年以上4年未満 → 64歳から受給可能
    1月以上2年未満 → 65歳から受給可
    (出典:個人型確定拠出年金HP)


[要点のまとめ]
企業年金等

    目次

  1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  2. 中小企業退職金共済制度

1 個人型確定拠出年金(iDeCo)

■確定拠出年金の制度概要
確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに年金給付額が決定される年金制度です。
・掛金を企業が拠出する企業型年金と加入者自身が拠出する個人型年金(iDeCo)があります。
・厚生年金基金や確定給付企業年金等の企業年金制度等は、給付額が約束されるという特徴がありますが、従来、以下のような問題点が指摘されていたことから、平成13年10月に公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として確定拠出年金が導入されました。
(1)現行の企業年金制度は中小零細企業や自営業者に十分普及していない。
(2)離転職時の年金資産の持ち運びが十分確保されておらず、労働移動への対応が困難である。
■確定拠出年金のメリットとデメリット
◯メリット
・加入者個人が運用の方法を決めることができる。
・社員の自立意識が高まる。
・経済・投資等への関心が高まる。
・運用が好調であれば年金額が増える。
・年金資産が加入者ごとに管理されるので、各加入者が常に残高を把握できる。
・一定の要件を満たせば、離転職に際して年金資産の持ち運びが可能。
・企業にとっては、掛金の追加負担が生じないので、将来の掛金負担の予測が容易。
・掛金を算定するための複雑な数理計算が不要。
・拠出限度額の範囲で掛金が税控除される。
◯デメリット
・投資リスクを各加入者が負うことになる。
・老後に受け取る年金額が事前に確定しない。
・運用するために一定の知識が必要。
・運用が不調であれば年金額が減る。
・原則60歳までに途中引き出しができない。(退職金の代わりにはならない)
・勤続期間が3年未満の場合には、資産の持ち運びができない可能性がある。
・加入者ごとに記録の管理が必要になるため、管理コストが高くなりやすい。

・掛金は全額、小規模企業等共済掛金となる。
・国民年金保険料の免除を受けていると加入することができない。
・転職や退職の際に、年金資金を移管することができる。
・老齢給付の受給は、原則、60歳以降(通算加入期間10年以上)だが、10年未満の場合は61歳以降となり、遅くとも70歳から受給できる。
・運用中の収益は非課税
・平成30年1月1日より、複数月分や1年分などまとめて拠出できるようになった。

2 中小企業退職金共済制度

■制度概要
事業主と独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が契約を結べば、あとは退職者に直接退職金が支払われる。
(1)事業主が中退共と退職金共済契約を結び、後日、従業員ごとの共済手帳が送付される。
(2)毎月の掛金を金融機関に納付する。掛金は全額事業主負担である。
(3)事業主は、従業員が退職したときには、「被共済者退職届」を中退共へ提出し、「退職金共済手帳(請求書)」を従業員に渡す。
(4)従業員の請求に基づいて中退共から退職金が直接支払われる。
■メリット
1 国が助成
新しく中退共制度に加入する事業主や、掛金月額を増額する事業主に、掛金の一部を国が助成する。
2 管理が簡単
掛金は口座振替なので手間がかからない。また、従業員ごとの納付状況や退職金の試算額を事業主に知らされる。
3 掛金は非課税
掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。
(注)資本金の額または出資の総額が1億円を超える法人の法人事業税には、外形標準課税が適用されます。
4 掛金月額が選べます
従業員ごとに掛金月額を選択できます。また、加入後いつでも増額できます。
(注)掛金月額を減額する場合は、一定の条件が必要です。
5 通算制度でまとまった退職金がもらえます
一定の要件を満たす従業員については、掛金納付月数などの通算ができます。
6 退職金は直接従業員へ
退職金は、勤労者退職金共済機構から直接、退職者の預金口座に振り込みますので、手間がかかりません。
(注)事業主が従業員に代わって退職金を受け取ることはできません。
7 従業員の福利厚生に利用できる提携サービス
加入企業の特典として、勤労者退職金共済機構・中退共本部と提携しているホテル、レジャー施設等を割引料金で利用できます。
8 解散存続厚生年金基金からの移行先の一つです
平成26年4月以降に解散した解散存続厚生年金基金から中退共制度へ移行の申出ができることになりました。
(出典:厚生労働省HP)

3 年金の種類と所得控除・所得の種類

年金所得控除所得の種類
公的年金社会保険料控除雑所得
国民年金基金
確定拠出年金小規模企業共済等掛金控除雑所得
退職所得
確定給付年金生命保険料控除
厚生年金基金社会保険料控除
生命保険生命保険料控除雑所得
一時所得


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