2級FP過去問解説(学科)2017年5月【問題11】リスクマネジメントと保険制度

問題11

保険業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約概要等の重要事項に加え、保険金の支払条件など顧客が保険加入の判断の参考となる情報の提供を行わなければならない。
  2. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、顧客の意向を把握し、意向に沿う保険契約を提案し、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。
  3. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約者または被保険者の要請に応じて、保険料の割引や割戻しを行わなければならない。
  4. 複数の保険会社の保険商品を販売する代理店(乗合代理店)は、顧客に対し、取扱商品の中から特定の保険会社の商品を推奨販売する場合、原則として、推奨した商品をどのように選別したのか、その理由についても説明しなければならない。

[正解]  (不適切)

[解説]

  1. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約概要等の重要事項に加え、保険金の支払条件など顧客が保険加入の判断の参考となる情報の提供を行わなければならない。
  2. [解説]
    適切である。平成28年5月29日に保険業法が改正され、現在、保険募集のあり方が大きく変化ししている状況であることから、頻出度が高めになっていると考えられる。改正保険業法では、保険会社及び保険募集人に対する保険募集の基本的ルールの創設(1情報提供義務、2意向把握・確認義務の導入)や保険募集人に対する規制の整備(3保険募集人に対する体制整備義務の導入)を主な内容としている。また金融庁としては、平成28事務年度の『金融行政方針』において、「各保険会社や保険募集人において顧客本位の取組みが行われているか、その対応状況等について確認する」とし、ヒアリングを行った。銀行や証券会社などは手数料重視の経営を行ってきていることを改め、顧客本位のあり方にする姿勢をフィデューシャリー・デューティーという。

  3. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、顧客の意向を把握し、意向に沿う保険契約を提案し、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。
  4. [解説]
    適切である。保険の契約時に、意向確認書という書類に記入することになっている。保険業法による規定である。保険業法では、「保険業の公共性にかんがみ、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより、保険契約者等の保護を図り、もって国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資すること」(保険業法第1条)としている。

  5. 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約者または被保険者の要請に応じて、保険料の割引や割戻しを行わなければならない。
  6. [解説]
    不適切である。保険料の割引や割戻しを行うと、保険の内容に関係なく金銭目的で契約が締結される恐れがある。保険料の割引や割戻しは保険契約の締結や保険募集の禁止行為として保険業法に定められている。主な禁止行為は次の通り。
    保険業法第300条
    一  保険契約者又は被保険者に対して、虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち保険契約者又は被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を告げない行為
    二  保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事項につき虚偽のことを告げることを勧める行為
    三  保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事実を告げるのを妨げ、又は告げないことを勧める行為
    四  保険契約者又は被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、又は新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為
    五  保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為
    六  保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為
    七  保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、将来における契約者配当又は社員に対する剰余金の分配その他将来における金額が不確実な事項として内閣府令で定めるものについて、断定的判断を示し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げ、若しくは表示する行為
    八  保険契約者又は被保険者に対して、当該保険契約者又は被保険者に当該保険会社等又は外国保険会社等の特定関係者(第百条の三(第二百七十二条の十三第二項において準用する場合を含む。第三百一条において同じ。)に規定する特定関係者及び第百九十四条に規定する特殊関係者のうち、当該保険会社等又は外国保険会社等を子会社とする保険持株会社及び少額短期保険持株会社(以下この条及び第三百一条の二において「保険持株会社等」という。)、当該保険持株会社等の子会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)並びに保険業を行う者以外の者をいう。)が特別の利益の供与を約し、又は提供していることを知りながら、当該保険契約の申込みをさせる行為
    九  前各号に定めるもののほか、保険契約者等の保護に欠けるおそれがあるものとして内閣府令で定める行為

  7. 複数の保険会社の保険商品を販売する代理店(乗合代理店)は、顧客に対し、取扱商品の中から特定の保険会社の商品を推奨販売する場合、原則として、推奨した商品をどのように選別したのか、その理由についても説明しなければならない。
  8. [解説]
    適切である。改正保険業法では、保険会社及び保険募集人に対する保険募集の基本的ルールの創設(1情報提供義務、2意向把握・確認義務の導入)や保険募集人に対する規制の整備(3保険募集人に対する体制整備義務の導入)を主な内容としており、3に関して保険募集人の体制整備に関するガイドラインを見るとわかりやすい。次の文章は保険協会の資料によるガイドラインである。
    ※提示・推奨理由の説明
    乗合代理店が特定の商品を提示・推奨する際には、顧客に対してその理由を分かりやすく説明する必要がある。
    特に、顧客の意向に合致する商品のうち、保険募集人の判断によってさらに絞込みを行ったうえで商品を提示・推奨する場合には、商品特性や保険料水準などの客観的な基準・理由等を説明する必要がある。
    (注)比較可能な商品の概要明示を行った後、保険募集人の判断による絞込みを行わず、顧客の判断のみによって加入する商品が特定された場合には、提示・推奨理由の説明は求められない。
    特定の商品を提示・推奨する基準・理由等が複数ある場合には、その主たるものを説明する必要がある


[要点のまとめ]
リスクマネジメントと保険制度

    目次

  1. 保険業法
  2. 保険法
  3. クーリング・オフ制度
  4. 生命保険契約者保護機構

1 保険業法

 保険募集
保険業法は「保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営および保険募集の公正を確保し、保険契約者などの保護を図ることなどを目的とする」法律である。
保険業法上の保険募集において、媒介とは、保険募集人が保険契約の勧誘を行い、保険契約の成立は保険会社の承諾による形態を指し、代理とは、保険募集人が承諾をすれば、その保険契約が成立する形態を指す。
店舗型や訪問型など、一般的な保険募集は保険募集人(代理店)による媒介である。媒介の場合、保険募集人が勧誘や契約書類の案内などをするが、最終的に保険会社による承諾が必要である。

<保険販売の禁止事項(保険業法第300条)>

1. 虚偽のことを告げる行為募集人が、契約者または被保険者に対して、虚偽のことを告げること、または契約者または被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項(保険料、保険期間、補償内容、保険金を支払わない場合など)を告げないこと。
2. 重要事項について虚偽のことを告げることを勧める行為募集人が、契約者または被保険者に対して、重要な事項(住所・氏名、保険の対象、他の契約の有無、事故歴など)について虚偽のことを告げることを勧めること。
3. 告知義務違反を勧める行為募集人が、契約者または被保険者に対して、重要な事実を告げるのを妨げること、または告げないことを勧めること。
4. 不当な乗換募集行為募集人が、契約者または被保険者に対して、不利益となる事実を告げずに、すでに成立している契約を解除(解約)させて新たな契約を勧めること。
5. 特別の利益の提供行為募集人が、契約者または被保険者に対して、保険料の割引、割戻し、その他特別利益の提供を約束すること、または提供すること。
6. 契約内容の違法な比較行為募集人が、契約者または被保険者に対して、他の保険商品との比較の中で有利な部分のみ説明し、不利な部分を説明しないこと。例えば、補償内容を比較せず、保険料のみを比較して他より有利であると説明すること。
7. 契約者配当・剰余金分配の予想などの行為募集人が、契約者または被保険者に対して、不確実な事項について、断定的判断を示すこと。例えば、積立型保険の販売において、契約者配当金は予想配当額どおり必ず支払われると説明すること。
8. 保険会社のグループ会社などによる特別の利益の提供行為保険会社のグループ会社などが、契約者または被保険者に対して、特別利益の供与を約束し、または提供していることを知りながら、契約の申込みをさせること。

 ソルベンシーマージン比率
ソルベンシーマージン比率は、「保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準」である。200%を下回ると金融庁は早期是正措置をとることができる。

 少額短期保険業
保険業法上の保険業のうち、一定事業規模の範囲内において、少額かつ短期の保険の引受けのみを行う事業
・最低資本金等 資本金 1000万円(経過措置の適用がある場合、施行日から7年間 500万円)
・年間収受保険料 50億円以下(超える場合は、保険会社の免許取得が必要)
・保険期間、保険金額の上限
 保険期間 損害保険2年、生命保険・医療保険1年
 保険金額 死亡保険300万円、医療保険80万円などの上限がある。また1人の被保険者から引き受ける保険金額の総額は、原則として1,000万円を超えてはならない。

2 保険法

保険契約者や被保険者に告知義務違反があった場合、保険会社は契約を解除することができるが、保険者が解除の原因があることを知った時から1カ月間行使しないとき、または保険契約の締結の時から5年を経過したときに消滅する。

3 クーリング・オフ制度

 クーリングオフの手続き
① 契約の申込日
② 契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面の交付日
①、②のいずれか遅い日を含めて、原則として8日以内に申し込みの撤回または解除の請求を書面で行う。書面を郵送した場合は当日の消印有効となる。

 クーリングオフの対象外
(1) 契約にあたって医師による診査を受けた場合
(2) 保険期間が1年以内の契約の場合
(3) 契約するために出向いて契約した場合
(4) 自賠責保険などの法令により加入義務のある保険契約の場合
(5) 事業のために締結した契約の場合

4 生命保険契約者保護機構

生命保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構は資金援助等を行うことにより、保険契約者の保護を図る。生命保険契約者保護機構は、保険業法に基づいて平成10年(1998年)12月1日に設立・事業開始した法人であり、国内で事業を行う全ての生命保険会社が会員として加入しているが、共済・少額短期保険業者・特定保険業者等は生命保険契約者保護機構の会員ではない。

保険の種類補償割合
生命保険破綻時点の
責任準備金の90%
自賠責保険100%
地震保険
自動車保険80%
破綻後3ヶ月100%
火災保険
短期傷害保険
海外旅行傷害保険
年金払積立傷害保険90%
その他の
疾病・傷害保険

銀行窓口で加入した保険は生命保険契約者保護機構による補償の対象だが、銀行で購入した投資信託は投資者保護基金の補償の対象外である。


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