2級FP過去問解説(学科)2017年5月【問題21】経済と金融市場

問題21

国内の景気や物価の動向を示す各種指標等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 支出面からみた国内総生産(GDP)の項目のうち、民間最終消費支出が最も高い構成比を占めている。
  2. 国内総生産(GDP)には名目値と実質値があり、物価の動向によっては、名目値が上昇していても、実質値は下落することがある。
  3. 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、金融部門から経済全体に供給される通貨量の残高を調査したものである。
  4. 景気動向指数において、有効求人倍率(除学卒)は、景気に対してほぼ一致して動く「一致系列」に分類される。

[正解]  (不適切)

[解説]

  1. 支出面からみた国内総生産(GDP)の項目のうち、民間最終消費支出が最も高い構成比を占めている。
  2. [解説]
    適切である。GDPは大きく分けて国内需要と財貨・サービスの純輸出があり、、平成26年度の名目GDPの構成比は、102.3%と-2.3%である。国内需要は民間需要と公的需要に分かれ、それぞれ76.8%と25.5%となっている。民間需要には民間最終消費支出(59.9%)、民間住宅(2.9%)、民間企業設備(14.0%)、民間在庫品増加(0.0%)がある。公的需要は政府最終消費支出(20.6%)、公的固定資本形成(4.8%)、公的在庫品増加(0.0%)がある。最も高い構成比である項目は民間最終消費支出であることがわかる。暗記する必要はないが、消費支出額が最も大きいことは何となくわかるだろう。

  3. 国内総生産(GDP)には名目値と実質値があり、物価の動向によっては、名目値が上昇していても、実質値は下落することがある。
  4. [解説]
    適切である。実質値は物価変動を除いた値で、名目値はスーパーで見る値段そのもの(物価変動を含んだ値)である。例えば、昨年度を基準にし、昨年度の収入が1000円、おにぎり1個が100円だったとする。今年度は、収入が1500円、おにぎり1個が200円になったとする。収入は1000円から1500円に上がっているので、金額そのもの(名目値)は上がっている。
    次に、実質値を求める。
    昨年度 1000円÷100✕100=1000円
    今年度 1500円÷200✕100=750円
    実質的には、収入は1.5倍になっているものの、おにぎり1個は2倍になっているため、実質値は25%下落している。よって設問の内容は「ありえる」。

  5. 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、金融部門から経済全体に供給される通貨量の残高を調査したものである。
  6. [解説]
    不適切である。全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、業種別・規模別に区分した企業の経営者にアンケートをし、「良い」「さほど良くない」「悪い」で回答してもらう調査である。3ヵ月に一度調査され、業況判断DI(「良いと回答した割合」-「悪いと回答した割合」)として発表する。

  7. 景気動向指数において、有効求人倍率(除学卒)は、景気に対してほぼ一致して動く「一致系列」に分類される。
  8. [解説]
    適切である。除学卒は、大学の新卒を除いた数字で、ハローワークに申込みしている求職者数に対する企業の求人数の割合のこと。有効求人倍率は一致系列(指数)に該当する。一致系列には営業利益や鉱工業生産財出荷指数などがある。


[要点のまとめ]
経済と金融市場

    目次

  1. 経済指標
  2. 金融市場
  3. 金利の変動要因
  4. 金融政策と財政政策

1 経済指標

1. 経済指標一覧

GDP国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額(海外で生産したモノやサービスの付加価値は含まない)で、内閣府が年4回発表している指標である。
景気動向指数生産、雇用などの経済活動状況を表すさまざまな指標の動きを統合して、景気の現状把握や将来の動向を予測するために内閣府が発表している指標である。
日銀短観日本銀行が景気の現状や先行きの見通しについて企業に直接行うアンケート調査で、全国企業短期経済観測調査の略称であり、年4回、調査・公表される。
企業物価指数企業間で取引される商品の価格変動に焦点を当てた指標であり、日本銀行が公表している。国際商品市況や外国為替相場の影響を受けやすい傾向がある。
消費者物価指数消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標で、総務省から毎月発表されている。
マネーストック統計中央政府や金融機関を除く経済主体が保有する通貨量の残高を集計したもので、日本銀行が毎月公表している。

2. GDP

GDP(Gross Domestic Product)は国内総生産といい、一定期間内に国内で生産された財・サービスの付加価値の合計額である。一国の経済活動を包括的に示す指標・景気を測る指標として重要なもので、内閣府が作成・公表している。またGDPには名目値と実質値がある。名目GDPは、実際に取引されている価格に基づいて推計されるため、物価変動の影響を受ける。一方、実質GDPは、ある年(基準年)の価格水準を基準として、物価変動要因が取り除かれている。このため、景気判断や経済成長率をみる場合には、名目GDPだけでなく実質GDPも重視される。名目GDPと実質GDPの関係は次の式で表される。
 名目GDP = 実質GDP + 物価変動率

またGDPデフレーターは名目GDPの物価水準の変化分を調整するときに使われ、次の式で表される。
 実質GDP = 名目GDP / GDPデフレーター

3. 景気動向指数
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2種類あるが、コンポジット・インデックス(CI)が指標の中心となる。コンポジット・インデックス(CI)は、景気変動のテンポや大きさを把握するための指標である。一致指数が上昇しているときは、景気の拡張局面といえる。

2 金融市場

1. 金融市場
インターバンク市場:金融機関だけが参加できる市場
オープン市場:一般企業も参加できる市場

3 金利の変動要因

1. 為替相場
海外金利の上昇 ⇒ 円から外貨へ ⇒ 円安 ⇒ 国内金利の上昇
海外金利の下落 ⇒ 外貨から円へ ⇒ 円高 ⇒ 国内金利の下落

4 金融政策と財政政策

1. 金融政策
(1) 公開市場操作
・売りオペ:市場の資金量が減少し、金利が上昇する。
・買いオペ:市場の資金量が増加し、金利が下落する。
(2) 預金準備率操作
・引き上げ:市場の資金量が減少し、金利が上昇する。
・引き下げ:市場の資金量が増加し、金利が下落する。

2. 財政政策
国や地方公共団体が行う政策


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