2019年1月1日以降FP試験でおさえておくべき改正点
ここでは2018年4月1日以降に改正または施行される制度のうち、試験で狙われる可能性があるポイントを紹介していきます。※2019年4月1日の税制改正を見て、更新する予定です。
■税制改正の流れ
試験に大きな影響を与える税制改正は12月中旬にに税制改正大綱が発表され、翌年の閣議決定を経て、2月下旬には通常国会へ改正法案として提出されます。施行は4月1日から。そのため、FP試験では9月実施の試験から反映されることになるのが一般的となります。
[法令基準日]2018年10月1日/[試験日]2019年1月、2019年5月
[法令基準日]2019年4月1日/[試験日]2019年9月
[法令基準日]2019年10月1日/[試験日]2020年1月、2020年5月
改正メモ(2019年)
・1月31日 改正相続法
・6月1日 所有者不明土地利用円滑化特別措置法
・6月15日 改正消費者契約法
・7月1日 改正民法(相続法)
・7月1日 改正不正競争防止法
・10月1日 消費税率10%、幼児・保育の無償化
[1]ライフプランニングと資金計画
- 健康保険・介護保険の主な改正点
- 都道府県も国民健康保険の保険者に。
- 所得税均等割を収入に応じて軽減
- 2割負担者の一部を3割負担者に。
- 雇用保険の主な改正点
- 支給上限額を上げ、雇用保険加入期間の要件を緩和する等
- 確定拠出年金制度の主な改正点
- 事業主が、従業員の掛金に追加して掛金を拠出できる(「iDeCo+」の創設)、簡易企業型年金の創設
- 所得控除
- 配偶者控除は配偶者の合計所得金額38万円以下、配偶者特別控除は38万円超123万円未満となる
- [用語]控除対象配偶者:合計所得金額が1,000万円以下である納税者本人と生計を一にする配偶者
- [用語]同一生計配偶者:納税者本人と生計を一にする合計所得金額が38万円以下の配偶者(38万円控除)
- [用語]源泉控除対象配偶者:38万円控除の対象となる配偶者(配偶者の合計所得金額が85万円以下)
- 法人税
- 給与を上げるなど一定の要件を満たした場合、法人税が軽減される。
- 金融資産の税金
- 債券の課税関係・・・上場株式等と損益通算可能に。
- 特定公社債等と上場株式等は同じグループなので、損益通算もできる
- 一般公社債等と一般株式(非上場株式)等が同じグループなので、内部通算可能だが、特定公社債・上場株式等とは損益通算不可。
- 金融商品
- 非課税投資枠は年間40万円まで
- 未使用分があっても翌年以降に繰り越すことはできない
- 非課税期間は購入年から数えて20年間
- 用途地域
- 原則、低層住居専用地域に準ずるが、農家レストランや直売所の建設が可能に。
- 宅地建物取引業法
- 中古市場やリフォーム市場を活性化させることが狙い。
- 空き家対策の一環として、仲介手数料の上限に現地調査費用を加えることができる
- 上限は、18万円+消費税となる
- 不動産にかかる税金
- タワーマンションは階層が高いほど値が高いが、同じ床面積の低階層と固定資産税、都市計画税、不動産取得税の税額が同じであるため、高階層ほど税額が高くなるように階層別の補整率を導入する
- 2018年4月1日から2021年3月31日までの間の登記
- 個人が相続(遺贈)により土地の所有権を取得した場合で,当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは,当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については,登録免許税を課さない
- 期限延長
- 特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減
- 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減
- 特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減
- 相続に係る税金
- 被相続人の配偶者や家屋に居住していた親族以外の親族(いわゆる「3年言家なき子」)に、次の要件が追加された。
- 2018年4月1日以後の相続から適用
- 教育資金贈与の非課税措置の延長 【平成31年3月31日まで延長】
参考サイト:「辻・本郷 税理士法人」様 - 傷病手当金・出産手当金 【1日あたりの支給金額の計算方法が変わります】
[休んだ日の標準報酬月額]÷30日×2/3(平成28年3月31日まで) ⇒
[支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額]÷30日×2/3(平成28年4月1日から)
簡単に言えば、支給開始前1年間の給与が基準となる、ということ。
さらに、平成28年4月から、傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することになります。
参考サイト:協会けんぽPDF - 介護保険 【65歳以上ので本人の合計所得金額が160万円以上(単身で年金収入のみだと280万円以上で一定の世帯だと2割負担となる】
合計所得金額が160万円以上でも、年金収入+その他の合計所得金額が単身なら280万円、2人以上世帯あら346万円未満なら1割負担。
参考サイト:厚生労働省PDF - 公社債・公社債投資信託の課税関係 【平成28年1月から大幅に変更!】
平成27年12月までは、上場株式等と公社債等の損益通算はできませんでしたが、平成28年1月から、上場株式等の譲渡損益・償還差損益と公社債等の譲渡損益・償還差損益、上場株式等の配当所得と公社債等の利子所得で損益通算できるようになりました。
●債券の課税関係・・・上場株式等と損益通算可能に。- (1)特定公社債等 ① 利子(利子所得として20.315%の申告分離課税 ② 譲渡損益・償還差益(譲渡所得として20.315%の申告分離課税)
- (2)一般公社債等 ① 利子(利子所得として20.315%の源泉分離課税 ② 譲渡損益・償還差益(譲渡所得として20.315%の申告分離課税)
※特定公社債等・・・国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債、公募公社債投資信託(MRF、外貨建てMMF等)など
※一般公社債等・・・特定公社債等以外の公社債(同族会社が発行する社債、預金保険の対象となっている金融債)、私募公社債投資信託、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で私募のもの⇒ つまり、公社債を二つに分け、そのうち特定公社債等に該当するものは、上場株式等(上場株式・公募株式投資信託)と税制上の取り扱いを統一しようというもの。よって、特定公社債等と上場株式等は同じグループなので、損益通算もできるようになります。
⇒ 一般公社債等と一般株式(非上場株式)等が同じグループなので、内部通算可能だが、特定公社債・上場株式等とは損益通算不可。参考サイト:「大和証券」様
- ゆうちょ銀行・かんぽ生命の限度額増額 【ゆうちょ銀行1,300万円、かんぽ生命2,000万円】
平成28年4月1日から、ゆうちょ銀行への預入限度額 1,000万円 ⇒ 1,300万円
かんぽ生命の加入限度額 1,300万円 ⇒ 2,000万円
参考サイト:「Jcastニュース」様 - NISA 【NISAの非課税枠増額・ジュニアNISAの登場】
平成28年4月1日から、NISAの非課税投資枠が年間120万円(以前は100万円)となる。
また、同年月日から、ジュニアNISAとして、未成年者(0~19歳)も非課税投資が利用できるようになる。ジュニアNISAの非課税投資枠は80万円。[3]タックスプランニング
- 減価償却方法 【建物付属設備・構築物の減価償却方法は定額法のみに】
所得税の法定減価償却が定額法、法人税は定率法ですが、建物(建物附属設備・構築物)は定額法のみ。建物以外の車両や機械は定率法を選択することができる。
参考サイト:「税理士法人 日野上総合事務所」様[4]不動産運用設計
- 不動産取得税の軽減延長 平成29年3月31日(一般)/平成30年3月31日(優良)まで
参考サイト:「住健ハウジング」様
- 不動産取得税の軽減延長 平成29年3月31日(一般)/平成30年3月31日(優良)まで
(1) 国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移管(2018年4月1日~)
⇒雇用保険、労災保険など社会保険の保険者を確認しておく
参考:厚生労働省「平成30年4月から国民健康保険制度が変わります」
(2) 後期高齢者医療保険制度の保険料の軽減措置
⇒基本となる年齢ごとの自己負担額を確認しておく
参考:厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」
(3) 現役世代並みの所得のある者の利用者負担割合の見直し(2018年8月1日施行)
⇒基本となる年齢ごとの自己負担額を確認しておく
参考:厚生労働省「平成29年介護保険法改正」
(1) 教育訓練給付金制度の改正(2018年1月1日施行)
⇒一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、(できれば教育訓練支援給付金)の支給内容を確認しておく
参考:ハローワーク「教育訓練給付制度」
(1) (2018年1月1日施行)
⇒確定拠出年金の重要性や注目度は増しているので、基本的な内容を含め確認しておく
参考:厚生労働省「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律の主な概要」
[2]リスク管理
特になし
[3]タックスプランニング
(1) 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し(2018年分の所得から)
⇒納税者本人の合計所得金額が1,000万円超は対象外で、配偶者特別控除の範囲が増えた。配偶者特別控除であっても38万円控除を受けられる範囲が増えたので、新たに「源泉控除対象配偶者」という名称を設けた。源泉徴収票の見方に関する問題が出題された場合、源泉徴収票には「源泉控除対象配偶者」の有無と控除額が記載されることになるため、源泉徴収票の見方も確認しておく。2020年以降、様々な控除額が変更となることからもしばらくは出題される可能性が高まる
※参考:厚生労働省「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」
(1) 所得拡大促進税制の見直し(2018年4月1日以降の事業開始年度から)
※参考:経済産業省「経済産業関係 税制改正について 」
[4]金融資産運用設計
(1) 公社債・公社債投資信託の課税関係(2018年1月1日~)
2017年12月までは、上場株式等と公社債等の損益通算はできませんでしたが、2018年1月から、上場株式等の譲渡損益・償還差損益と公社債等の譲渡損益・償還差損益、上場株式等の配当所得と公社債等の利子所得で損益通算できるようになりました。
特定公社債等 ① 利子(利子所得として20.315%の申告分離課税 ② 譲渡損益・償還差益(譲渡所得として20.315%の申告分離課税)
一般公社債等 ① 利子(利子所得として20.315%の源泉分離課税 ② 譲渡損益・償還差益(譲渡所得として20.315%の申告分離課税)
※特定公社債等・・・国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債、公募公社債投資信託(MRF、外貨建てMMF等)など
※一般公社債等・・・特定公社債等以外の公社債(同族会社が発行する社債、預金保険の対象となっている金融債)、私募公社債投資信託、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で私募のもの
参考:「大和証券」様
(1) つみたてNISA(2018年1月1日~)
参考:金融庁「つみたてNISAの概要」
[5]不動産運用設計
(1) 田園住居地域が追加され13種類に(2018年4月1日~)
⇒住居系の最後、準住居地域と近隣商業地域の間に位置するが、建築物の用途は低層住居専用地域に似ている(診療所〇、保育所〇、住宅〇、図書館〇、高校〇、大学×、ホテル×など)
参考:国土交通省「都市緑地法等の一部を改正する法律及び関係政省令」
(1) 改正宅地建物取引業法(2018年4月1日~)
参考:国土交通省「改正宅地建物取引業法の施行について」
(2) 低廉な空き家等の売買に関する特例(2018年4月1日~)
→これまで売主と買主の上限は同じでしたが、売主に限り、取引金額400万円以下の場合、18万円まで受け取れることになります。資産価値のない空き家などでも現地調査をして市場に流通させることで空き家を減らすことができます。
参考:不動産流通推進センター不動産相談
(1) 居住用超高層建築物に係る固定資産税等の見直し(2018年4月1日~)※2017年度税制改正
参考:財務省「平成29年度税制改正」
(2) 相続登記の登録免許税の免税措置(2018年4月1日~)
参考:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
(1) 特定の住宅用家屋に係る登録免許税の税率の軽減措置(2020年3月31日まで)
所有権の保存登記:0.1%、所有権の移転登記(マンション):0.1%、所有権の移転登記(戸建て):0.2%
所有権の保存登記:0.1%、所有権の移転登記:0.1%
所有権の移転登記:0.1%
[6]相続・事業承継
(1) 小規模宅地等の特例の見直し(2018年4月1日~)
(1)相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人(注6)が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
(2)相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
参考:国税庁「小規模宅地等の特例」