2級FP過去問解説(個人資産)2019年5月【問14】相続

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。


Aさん(72歳)は、妻Bさん(70歳)および長男Cさん(42歳)家族とX市内の自宅で同居している。長男Cさんは、X市内にある私立高校の教諭をしている。他方、長女Dさん(40歳)は隣県にある企業に勤務しており、当地で持家(マンション)を購入し、会社員の夫と暮らしている。
Aさんは、将来的に自宅および自宅に隣接する賃貸アパート等の財産を同居する長男Cさんに承継してもらいたいと考えているが、自身の相続が起こった際に遺産分割で争いが生じるのではないかと心配している。なお、賃貸アパートは、土地の有効活用と相続対策を考えて、2017年2月に自己資金で建築し、同年3月から全室賃貸中である。
<Aさんの家族構成(推定相続人)>
妻Bさん (70歳) :Aさんと自宅で同居している。
長男Cさん(42歳) :高校教諭。妻と子2人がおり、Aさん夫妻と同居している。
長女Dさん(40歳) :会社員。夫と持家(マンション)に住んでいる。
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
1.現預金    : 4,500万円
2.賃貸アパート(現在、全室賃貸中)
①敷地(300㎡) : 5,500万円(注)
②建物(6室)  : 5,000万円
3.自宅
①敷地(330㎡) : 7,500万円(注)
②建物  : 1,500万円
合計  :2億4,000万円
(注)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問14

Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

  1. 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を2億4,000万円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は6,000万円となります」
  2. 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成しますが、推定相続人が証人になることはできません」
  3. 「仮に、Aさんの相続が賃貸アパートの貸付開始から3年以内に発生した場合、当該敷地は小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されます」


[正解]
 × ② ○ ③ ×

  1. 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を2億4,000万円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は6,000万円となります」
  2. [解説]
    遺留分は1/2となるため、
    2億4,000万円×1/4×1/2=3,000万円が長女Dさんの遺留分である。

  3. 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成しますが、推定相続人が証人になることはできません」
  4. [解説]
    公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する。証人には、遺言者や公証人と利害関係があるとなることができない。推定相続人や受遺者はもちろん、その配偶者や直系血族、未成年者も除外される。

  5. 「仮に、Aさんの相続が賃貸アパートの貸付開始から3年以内に発生した場合、当該敷地は小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されます」
  6. [解説]
    賃貸アパートは長男Cが承継する。被相続人の配偶者には取得者ごとの要件はないが、配偶者以外は要件がある。長男Cさんは、Aさんと同居している。
    被相続人と同居していない親族であれば「相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと」という要件はあるが、これは「貸付開始から3年以内」ではなく、また長男Cさんは被相続人と同居している親族である。被相続人と同居している親族の場合の要件は、「相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人」である。

[要点のまとめ]

<法定相続分>
1.法定相続分
(1) 第1順位 配偶者1/2 子1/2
   第2順位 配偶者2/3 直系尊属1/3
   第3順位 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
(2) 法定相続分のポイント
・相続放棄は最初から相続人ではなかったことになり、代襲相続も発生しない。
・実子と養子の法定相続分に違いはないが、法定相続人の数を数える際には次の制限がある。
 実子がいる場合は養子1人まで
 実子がいない場合は養子2人まで
・半血兄弟姉妹(父母の一方のみ同じ)の法定相続分は全血兄弟姉妹の2分の1である。
2.遺留分
直系尊属のみの場合は1/3だが、それ以外は1/2である。

<小規模宅地等の評価減特例>
(1) 小規模宅地等の評価減特例の概要
小規模宅地等の評価減の特例には、居住用、事業用、貸付用がある。駐車場は、構築物があれば適用できるが、青空駐車場は適用外となる。
また特定居住用宅地等は適用要件が複雑だが、次の点だけはおさえておこう。
・配偶者には取得者ごとの要件はない。
・被相続人と同居していた親族なら、引き続き居住していること
・被相続人と同居していない親族なら、いわゆる「家なき子」(所有する家屋がない子)であること
被相続人と同居していない親族の取得者ごとの要件はほかにもあるが、まずは上記の内容をおさえておこう。
(2) 減額割合と限度面積
居住用80%、330㎡
事業用80% 400㎡
貸付用50% 200㎡

関連問題


<解説・みんなの評価>

「かなり分かりやすい解説だった」⇒ ☆5
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「もう少し詳しく解説してほしい」⇒ ☆3
「解説が分かりにくかった」⇒ ☆2
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