2級FP過去問解説(個人資産)2019年9月【問10】空き家の特例

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


Aさん(58歳)は、上場企業に勤務する会社員である。2019年2月、X市内の実家(甲土地および建物)で1人暮らしをしていた母Bさんが死亡した。法定相続人は、1人息子のAさんのみであり、相続手続は完了している。
Aさんは、別の都市に自宅を保有し、居住しているため、空き家となっている実家については売却することを検討しているが、先日、大手ドラッグストアのY社から「商業性の高い甲土地での新規店舗の出店を考えている。Aさんには、建設協力金方式での有効活用を検討してもらえないか」との提案があった。Aさんは、実家の売却と有効活用のどちらを選択したらよいか、迷っている。

<Aさんの実家(甲土地および建物)の概要>

・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問10

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、「本特例」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

  1. 「本特例の適用を受けるための要件の1つとして、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された戸建て住宅であることが挙げられます。本特例の適用を受けるためには、家屋を取り壊して更地で譲渡するか、家屋を一定の耐震基準でリフォームしてからその家屋のみ、またはその家屋とともに敷地を譲渡しなければなりません」
  2. 「本特例の適用を受けるための要件の1つとして、敷地の相続税評価額が1億円以下であることが挙げられます。甲土地の相続税評価額は8,000万円になりますので、Aさんは本特例の適用を受けることができます」
  3. 「本特例と相続税の取得費加算の特例は、重複して適用を受けることができますので、適用を受けるための要件を確認し、適用漏れがないようにしてください」


[正解]
 ②× ③×

  1. 「本特例の適用を受けるための要件の1つとして、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された戸建て住宅であることが挙げられます。本特例の適用を受けるためには、家屋を取り壊して更地で譲渡するか、家屋を一定の耐震基準でリフォームしてからその家屋のみ、またはその家屋とともに敷地を譲渡しなければなりません」
  2. [解説]
    適切である。昭和56年5月31日以前の建物は、現在の建築基準法が適用されておらず、空き家として活用されていない。そこで一定の要件を満たす空き家に対して、譲渡所得を軽減させる(3000万円控除できる)ようにすることで、空き家対策を推進することが目的である。

  3. 「本特例の適用を受けるための要件の1つとして、敷地の相続税評価額が1億円以下であることが挙げられます。甲土地の相続税評価額は8,000万円になりますので、Aさんは本特例の適用を受けることができます」
  4. [解説]
    不適切である。「、敷地の相続税評価額が1億円以下であること」ではなく、「売却代金が1億円以下であること」である。

  5. 「本特例と相続税の取得費加算の特例は、重複して適用を受けることができますので、適用を受けるための要件を確認し、適用漏れがないようにしてください」
  6. [解説]
    不適切である。相続税の取得費加算の特例との重複適用はできない。

[要点のまとめ]

<被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例>
⇒要件を満たせば、3,000万円控除を適用できる。
1 対象となる空き家
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・区分所有建物登記がされている建物でないこと。
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
2 主な要件
・売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
・売却代金が1億円以下であること。
・売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
※平成31年度税制改正要望の結果、本特例措置については2019年12月31日までとされていた適用期間が2023年12月31日までに延長されることとなり、特例の対象となる相続した家屋についても、これまで被相続人が相続の開始直前において居住していたことが必要でしたが、老人ホーム等に入居していた場合(一定要件を満たした場合に限ります。)も対象に加わることとなった。


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