2級FP過去問解説(個人資産)2019年9月【問14】相続等

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。


Aさん(70歳)は、飲食店X屋を営む個人事業主(青色申告者)である。X屋は、Aさんが父親(既に他界)から承継したもので、現在では年商1億円を超える有名店となっている。
Aさんは、体力の衰えを感じており、長男Cさんに事業を承継することを決意した。
Aさんは、所有財産のうち、妻Bさんには自宅および自宅に隣接する賃貸アパートを相続させ、長男CさんにはX屋の店舗およびその敷地を承継したいと考えている。長女Dさんは、会社員の夫、2人の子と他県の賃貸マンションに住んでおり、Aさんに対して、住宅取得資金の援助を期待しているようである。
なお、長男Cさんと長女Dさんは、日頃から折り合いが悪く、Aさんは自身の相続が起こった際に遺産分割で争いが生じるのではないかと不安を感じている。
<Aさんの推定相続人>
妻Bさん (68歳):X屋勤務。Aさんと自宅で同居している。
長男Cさん(43歳):X屋勤務。妻と子2人がおり、Aさん夫妻と同居している。
長女Dさん(40歳):専業主婦。夫と子2人で賃貸マンションに住んでいる。
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
現預金等 : 7,000万円
自宅敷地(300㎡) : 6,000万円(注)
自宅建物 : 3,000万円
賃貸アパート敷地(240㎡) : 5,000万円(注)
賃貸アパート建物 : 2,000万円
X屋店舗敷地(450㎡) : 8,000万円(注)
X屋店舗建物 : 5,000万円
合計 3億6,000万円
(注)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問14

Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

  1. 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、遺言者が、その遺言の全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成するものでしたが、自筆証書遺言の方式が緩和され、自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコン等で作成することが可能となりました」
  2. 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続により取得した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を4億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は5,000万円となります」
  3. 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」


[正解]
 ② ③×

  1. 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、遺言者が、その遺言の全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成するものでしたが、自筆証書遺言の方式が緩和され、自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコン等で作成することが可能となりました」
  2. [解説]
    適切である。自筆証書遺言に添付する財産目録については、自筆でなくても、署名押印すればいいこととなった。

  3. 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続により取得した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を4億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は5,000万円となります」
  4. [解説]
    適切である。遺留分は法定相続分の2分の1である。長女Dさんの法定相続分は4分の1なので、「1/4×1/2=1/8」が遺留分となる。
    遺留分の金額は、「4億円×1/8=5,000万円」となる。

  5. 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
  6. [解説]
    特定居住用と特定事業用を併用する場合は、敷地面積の合計730㎡までしか適用を受けることはできない。

[要点のまとめ]

<小規模宅地等の評価減特例>
(1) 小規模宅地等の評価減特例の概要
小規模宅地等の評価減の特例には、居住用、事業用、貸付用がある。駐車場は、構築物があれば適用できるが、青空駐車場は適用外となる。
また特定居住用宅地等は適用要件が複雑だが、次の点だけはおさえておこう。
・配偶者には取得者ごとの要件はない。
・被相続人と同居していた親族なら、引き続き居住していること
・被相続人と同居していない親族なら、いわゆる「家なき子」(所有する家屋がない子)であること
被相続人と同居していない親族の取得者ごとの要件はほかにもあるが、まずは上記の内容をおさえておこう。
(2) 減額割合と限度面積
居住用80%、330㎡
事業用80% 400㎡
貸付用50% 200㎡
※居住用と事業用を併用する場合は、合計730㎡まで。


<解説・みんなの評価>

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