【第1問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問1》~《問3》)に答えなさい。
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(47歳)は、会社員の妻Bさん(48歳)および大学生の長女Cさん(19歳)との3人暮らしである。Aさんは、住宅ローンの返済や教育費の支払など、今後の資金計画を再検討するなかで、老後の生活資金等について、そろそろ準備をしておきたいと考えるようになった。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<Aさんとその家族に関する資料>
(1) Aさん(1973年6月12日生まれ・47歳・会社員)
- ・公的年金加入歴: 下図のとおり(60歳定年時までの見込みを含む)
- ・全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
- ・X社が実施している確定給付企業年金の加入者である。
(2) 妻Bさん(1972年7月10日生まれ・48歳・会社員)
- ・公的年金加入歴: 20歳から22歳の大学生であった期間(33月)は国民年金の第1号被保険者として保険料を納付し、22歳から現在に至るまでの期間(305月)は厚生年金保険に加入。妻Bさんは、65歳になるまでの間、厚生年金保険の被保険者として勤務する見込みである。
- ・全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
- ・勤務先は確定拠出年金の企業型年金および他の企業年金を実施していない。
(3) 長女Cさん(2000年12月19日生まれ・19歳・大学生)
・Aさんが加入する全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。
- ※妻Bさんおよび長女Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
- ※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
《問1》
Aさんが、60歳でX社を定年退職し、その後再就職等をしない場合、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2020年度価額)を計算した次の<計算の手順>の空欄①~④に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。計算にあたっては、《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および下記の<資料>に基づくこと。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
<資料>
<計算の手順>
1. 老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入)
( ① )円
2. 老齢厚生年金の年金額
(1) 報酬比例部分の額(円未満四捨五入)
( ② )円
(2) 経過的加算額(円未満四捨五入)
( ③ )円
(3) 基本年金額(上記「(1)+(2)」の額)
□□□円
(4) 加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
(5) 老齢厚生年金の年金額
( ④ )円
[正解]
① 781,700(円) ②961,229(円) ③650(円) ④961,879(円)
1. 老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入)
<資料>老齢基礎年金の計算式より、保険料納付済月数や免除月数を確認する。《設例》より、免除月数はないため、納付済月数を計算すればよい。
・保険料納付済月数 34月 + 84月 + 362月 = 480月
よって、満額受け取ることができる。
( ① 781,700 )円
2. 老齢厚生年金の年金額
(1) 報酬比例部分の額(円未満四捨五入)
a 28万円 × 7.125/1,000 × 84月 = 167,580円
b 40万円 × 5.481/1,000 × 362月 = 793,648.8円
a + b = 961,228.8円
( ② 961,229 )円
(2) 経過的加算額(円未満四捨五入)
1,630円 × 446月 – 781,700円 × 446/480
= 726,980 – 726,329.58
= 650.42
( ③ 650 )円
(3) 基本年金額(上記「(1)+(2)」の額)
(1) + (2)
= 961,229 + 650 = 961,879
961,879円
(4) 加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
・加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、その人に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算される。
※配偶者は65歳未満であること、子は18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
・配偶者が65歳未満でなければならず、Aさんが65歳到達時点で妻Bさんは65歳を超えている。また長女Cさんはすでに19歳であるため、加給年金額は支給されない。
(5) 老齢厚生年金の年金額
(1) ~ (4)より
( ④ 961,879 )円