【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。
非上場企業であるX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であったAさんは、2020年12月22日(火)に病気により79歳で死亡した。
Aさんは、自宅に自筆証書遺言を残しており、相続人等は自筆証書遺言の内容に従い、Aさんの財産を下記のとおり取得する予定である。また、妻Bさんは、死亡保険金2,500万円およびX社から死亡退職金5,000万円を受け取っている。
<各人が取得する相続財産(みなし相続財産を含む)>
①妻Bさん(75歳)
- 現金および預貯金 ···· 1,000万円
- 自宅(敷地330㎡)···· 1,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額)
- 自宅(建物) ·········· 500万円(固定資産税評価額)
- 死亡保険金 ··········· 2,500万円(契約者(=保険料負担者)・被保険者はAさん、死亡保険金受取人は妻Bさん)
- 死亡退職金 ··········· 5,000万円
②長男Cさん(52歳)
- 現金および預貯金 ···· 7,000万円
- X社株式 ·············· 2億1,000万円(相続税評価額)
③長女Dさん(50歳)
- 現金および預貯金 ···· 2,000万円
④孫Eさん(24歳)
- 現金および預貯金 ···· 1,000万円
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
《問14》
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
- ① 「妻Bさんが受け取った死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。妻Bさんが受け取った死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります」
- ② 「長女Dさんが遺留分に相当する財産を受け取ることができない場合、長女Dさんは、長男Cさんに対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。遺留分侵害額請求権は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に行使しない場合、時効により消滅します」
- ③ 「孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になります」
[正解]
① × ② × ③ ○
- ① 「妻Bさんが受け取った死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。妻Bさんが受け取った死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります」
- ② 「長女Dさんが遺留分に相当する財産を受け取ることができない場合、長女Dさんは、長男Cさんに対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。遺留分侵害額請求権は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に行使しない場合、時効により消滅します」
- ③ 「孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になります」
[解説]
不適切である。生命保険金と死亡退職金について、各人の課税価額を計算する際、非課税枠を適用できる。
・非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
法定相続人は、妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人なので、非課税限度額は、
500万円 × 3人 = 1,500万円
・各人の非課税金額 = 非課税限度額 × 相続人が受け取った死亡保険金等 / 全相続人が受け取った死亡保険金等
妻Bさんは死亡保険金を全額受け取るので、妻Bさんの非課税限度額は1,500万円となる。
・相続税の課税価格に算入される金額
2,500万円 – 1,500万円 = 1,000万円
[解説]
不適切である。遺留分侵害額の請求権の時効は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年である。
[解説]
適切である。孫Eさんは長男Cさんの代襲相続人ではないため、2割加算の対象となる。