2級FP過去問解説(個人資産)2021年5月《問7》所得税の申告と納付

【第3問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問7》~《問9》)に答えなさい。


 Aさん(40歳)は、大学卒業後に入社した建設会社を退職後、33歳のときに個人の建築デザイン事務所を立ち上げ、現在に至っている。Aさんは、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。

<Aさんとその家族に関する資料>
 Aさん (40歳) : 個人事業主(青色申告者)
 妻Bさん (38歳) : Aさんが営む事業に専ら従事している。青色事業専従者として、2020年中に120万円の給与を受け取っている。
 長男Cさん(9歳) : 小学生。2020年中の収入はない。
 母Dさん (70歳) : 2020年中の収入は、公的年金の老齢給付のみであり、その収入金額は80万円である。

<Aさんの2020年分の収入等に関する資料>
 (1) 事業所得の金額 : 600万円(青色申告特別控除後)
 (2) 不動産所得の金額 : ▲100万円(注)
   (注)土地等の取得に係る負債の利子はない
 (3) 一時払養老保険の満期保険金
  契約年月 : 2010年4月
  契約者(=保険料負担者)・被保険者 : Aさん
  満期保険金受取人 : Aさん
  死亡保険金受取人 : 妻Bさん
  満期保険金額 : 525万円
  一時払保険料 : 500万円

※妻Bさん、長男Cさんおよび母Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
※Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
※Aさんとその家族の年齢は、いずれも2020年12月31日現在のものである。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問7》

 所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

  • Ⅰ 「事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することに加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う必要があります。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円となります」
  • Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除、( ③ )の所得に対する税額から還付を受けられる純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」
〈語句群〉

イ.10 ロ.38 ハ.48 ニ.55 ホ.65 ヘ.前年分
ト.過去5年分 チ.過去7年分



[正解]
 ② ③

[解説]

  • Ⅰ 「事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① 65 )万円を控除することができます。( ① 65 )万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することに加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う必要があります。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② 10 )万円となります」
  • Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除、( ③ 前年分 )の所得に対する税額から還付を受けられる純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」
[要点のまとめ]
所得税の申告と納付

    目次

  1. 給与所得で確定申告が必要な人
  2. 青色申告特別控除
  3. 確定申告
  4. 改正情報

1 給与所得で確定申告が必要な人

(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える。
(2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える。
(3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える。
※給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の場合は、申告不要となる。

また給与所得者に限らず、各種特例を適用したい場合などでも確定申告が必要となる。

(1) 住宅ローン控除の適用を受ける初年度
(2) 医療費控除の適用
(3) 寄附金控除の適用 など

2 青色申告特別控除

1. 青色申告の要件
(1) 不動産所得、事業所得、山林所得がある
(2) 青色申告をする年の3月15日まで(その年の1月16日以降に事業を開始する場合は事業開始後2ヶ月以内)
(3) 一定の帳簿書類を備え、7年間保存していること

2. 青色申告のおもな特典
(1) 青色申告特別控除(65万円or55万円or10万円)
 55万円控除するためには、事業的規模の不動産所得(5棟10室基準)または事業所得がある場合に、正規の簿記の原則にもとづいて作成した貸借対照表と損益計算書を添付し期限内に申告しなければならない。
 55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が、電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除を受けられる。
(2) 青色事業専従者給与の必要経費算入
 適正額であれば、給与を必要経費とすることができる。
(3) 純損失の3年間の繰越控除
 純損失とは、損益通算しても引ききれなかった損失である。青色申告の要件を満たせば、翌年以降3年間にわたり控除することができる。
(4) 純損失の繰戻還付
 前年も青色申告をしていれば、前年の所得から損失を控除して、所得税の還付を受けることができる。
(5) 棚卸資産の評価について低価法を選択することができる。
 低価法は、資産の取得原価と時価を比較して、いずれか低い方の価額を期末棚卸資産の評価額とすることができる方法である。

3 確定申告

1. 確定申告の期限
所得税の確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日までの間である。

2. 給与所得者で確定申告が必要な人
(1) 年収が2,000万円を超える
(2) 給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円超
(3) 2ヵ所以上から給与を受け取っている

3. 給与所得者でも確定申告をしないと適用を受けられないもの
(1) 住宅ローン控除(初年度)
(2) 雑損控除、医療費控除、寄附金控除(※)
(3) 配当控除
※ワンストップ特例制度:寄付先が5自治体以内の場合、確定申告が不要となる制度。

4 改正情報

・令和2年分の所得から、青色申告特別控除が55万円となった。

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