2級FP過去問解説(個人資産)2021年5月《問12》不動産の有効活用

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


 Aさん(60歳)は、3年前に父親の相続により取得したM市内(三大都市圏・既成市街地等)にある自宅(建物とその敷地である甲土地)およびアスファルト敷きの月極駐車場(乙土地)を所有している。
 Aさんが居住する自宅の建物は、父親が40年前に建てたものである。Aさんは老朽化した自宅での生活に不便さを感じている。また、父親の存命中から賃貸している月極駐車場は満車の状態が続いているが、収益性は高くない。Aさんは、甲土地(自宅)・乙土地(駐車場)を売却し、駅前のタワーマンションを購入して移り住むことを考えているが、先祖代々の土地である甲土地・乙土地を売却することに、少し後ろめたさを感じている。Aさんは、先日、マンション開発業者(X社)の営業担当者から「甲土地・乙土地は、最寄駅から徒歩5分の好立地にあり、マンション用地として適地であり、需要は相当高いと考えています。Aさんが等価交換をご希望であれば、対応させていただきます」との提案を受けた。

・甲土地、甲土地と乙土地を一体とした土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問12》

 等価交換方式による甲土地と乙土地を一体とした土地の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

  • ① 「等価交換方式とは、マンション開発業者のX社からAさんが建設資金を借り受けて、マンションを建設し、完成した区分所有建物と土地の共有持分をAさんとX社がそれぞれの出資割合に応じて取得する手法です」
  • ② 「等価交換方式により取得したマンション住戸を賃貸することで、賃料収入を得ることができます。また、複数のマンション住戸を区分所有していれば、相続時の遺産分割が比較的容易になるというメリットが考えられます」
  • ③ 「Aさんは、等価交換方式による有効活用にあたり、譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができる『既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(立体買換えの特例)』の適用を検討することができます」


[正解]
× ② ③

[解説]

  • ① 「等価交換方式とは、マンション開発業者のX社からAさんが建設資金を借り受けて、マンションを建設し、完成した区分所有建物と土地の共有持分をAさんとX社がそれぞれの出資割合に応じて取得する手法です」
  • [解説]
    不適切である。等価交換方式は、 所有する土地を譲渡して、デベロッパーがその土地に店舗を建てる。土地の価格と建築費用の割合で持分を決める。なおすでに所有している土地を使うので、建築資金は不要である。

  • ② 「等価交換方式により取得したマンション住戸を賃貸することで、賃料収入を得ることができます。また、複数のマンション住戸を区分所有していれば、相続時の遺産分割が比較的容易になるというメリットが考えられます」
  • [解説]
    適切である。等価交換方式により取得したマンション住戸を賃貸することで、賃料収入を得ることができる。また複数のマンション住戸を区分所有していれば、相続時の遺産分割が比較的容易になる。

  • ③ 「Aさんは、等価交換方式による有効活用にあたり、譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができる『既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(立体買換えの特例)』の適用を検討することができます」
  • [解説]
    適切である。Aさんが土地を譲渡し、それにより得た譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができるのが立体買換えの特例である。譲渡した土地について、ディベロッパーが地上3階以上の中高層耐火建築物を建築しなければならないが、本問ではマンションを建築する予定なので、要件を満たす。

[要点のまとめ]
不動産の有効活用

    目次

  1. 不動産の投資判断手法
  2. 土地の活用方法

1 不動産の投資判断手法

1. 純利回り(NOI利回り)
純利回り(NOI利回り)は、実質利回りや総投下資本純収益利回りと呼ばれ、年間の総収入から諸費用を引いた額を総投資額で除して算出する。

2. IRR法(内部収益率法)
IRR法(内部収益率法)は、投資期間中に受け取れる年度ごとの収益を現在価値に戻した合計と投資額が等しくなる割引率(内部収益率)を求め、内部収益率と期待収益率を比較する方法である。

3. NPV法(正味現在価値法)
NPV法(正味現在価値法)は、投資不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合に有利と判定できる。

4. レバレッジ効果
レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな収益を得られることである。対象不動産の収益率が借入利子率を上回っていれば、賃料の一部を返済に回すことができ、自己資金をおさえることができる。
(例)
(1) 自己資金1,000万円のみで年間100万円の収益
※収益率 = 100 / 1,000 × 100 = 10%
(2) 自己資金1,000万円と借入金2,000万円で年間300万円の収益
※300 / 3,000 × 100 = 10%
いずれの場合も収益率は10%である。

次に、(2)の場合で年間60万円の利息を支払うと300万円 – 60万円 = 240万円
(1)は受取額100万円、(2)は受取額240万円だが、自己資金の回収を考えると、(1)は10年かかるが、(2)は4年強で済む。
また自己資金に対する収益率を考えると、(1)は10%だが、(2)は24%となる。
※(2) 240 / 1,000 × 100 = 24%
ただし、対象不動産の収益率が借入利子率を下回る逆レバレッジの場合、借入金をした方が不利となるため注意が必要である。

2 土地の活用方法

(1) 等価交換方式
 所有する土地を譲渡して、デベロッパーがその土地に店舗を建てる。土地の価格と建築費用の割合で持分を決める。すでに所有している土地を使うので、建築資金は不要である。
(2) 事業受託方式
 土地の活用方法をデベロッパーに相談し、企画から運営管理まで一括管理してもらう方式。土地は手放さないが、資金が必要である。
(3) 定期借地権方式
 土地に借地権を設定して貸し出す方法。土地の譲渡や建設資金は不要である。
(4) 建設協力金方式
 テナント企業等から建設協力金として資金を得て、所有する土地に商業用店舗を建設する。建設協力金の額により土地所有者の自己負担額は異なるが、土地の譲渡はない。

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